News

ニュース・セミナー
ニュース 2020年07月14日

【アジアニュース】コロナウイルスを取り巻くアジアの近況 ~フィリピン編~

フィリピンにおける新型コロナウイルス累計感染者数が増加の一途を辿っています。7月13日時点での累計感染者数は5万7千人にのぼり、病院が相次いで満床を発表しています。これまでの経過を振り返ってみました。

 

【厳格なロックダウン】

ルソン島には、フィリピンの総人口約1億1000万人の過半数が住んでいます。感染拡大が始まってから大統領がロックダウンを指示し、住民には厳しい自宅待機が命じられました。全ての公共交通機関が運行を停止し、企業の従業員は基本的に在宅勤務を余儀なくされました。人の移動は陸路、海路、空路の全てで制限され、外国人へのビザ発給も停止、入国も拒否されました。

感染は、海外から帰国する出稼ぎ労働者が急増した影響で拡大しました。大統領は4月1日に「命令違反者については軍や警察による逮捕や射殺も辞さない」と警告、自宅待機を繰り返し呼び掛けましたが、違反者は後を絶ちませんでした。警察によればこれまでの違反者は20万人を超え、逮捕者は6万人以上に上るそうです。

ロックダウン中のマニラ首都圏はゴーストタウン化し、ビジネス街であるマカティやBGC(Bonifacio Global City)には通行人がいなくなり、治安が悪化しました。日本人が強盗の被害にあう事件も発生しています。

 

【経済活動の再開】

政府は国家非常事態を宣言し低所得層への現金給付を実施するなど積極的な対策を講じましたが、感染の拡大に歯止めはかかりませんでした。それでも5月28日、大統領は「感染者は増えているが、人口に対して致死率は高くない。コントロールできている」とし、6月1日から全国的に制限措置を緩和に踏み切ることを表明します。経済活動の再開にあたり、公共交通機関、レストラン、ショッピングモールの営業が制限付きで認められました。

経済活動再開に踏み切らざるを得なかったのは、フィリピンには貧困層が多く、財源に余力がないため経済対策にも限界があるからです。

 

【感染のさらなる拡大】

経済活動を再開して以降、人の移動が増えたことで市中感染が広がり、13日には1日当たりの死者数が162人と過去最多を記録、東南アジア諸国でも最多となりました。新規の感染者は2124人でした。ロックダウンの緩和を開始した6月1日以降、感染者は3倍以上に増えています。保健省によると累計の死者数は1534人で感染疑い例が1万2000人近く報告されており、死者は今後さらに増える見通しです。

セブ市やバタンガスなど、感染再拡大を受けロックダウンの再開を宣言する自治体も出てきました。
医療体制も逼迫しており、St. Luke’sやMakati Medical、The Medical Cityといったフィリピンでも有数の大手総合病院が新規コロナウイルス患者の受け入れ不可を発表しています。

 

Activate your potential